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02.04 Sat

【散文】溶かしたい眼差し


 頬杖を突いて隣りの横顔を眺めていた。尖った鼻筋、痩せた頬。隣りの席になってからすでに半月が経過しているが、僕は一度も彼が笑っている姿を見たことがない。
(……どんな時、どんな風に笑って見せるんだろう)
 間も無く期末試験がやってくる。しかし最近の僕の議題はもっぱらこれだった。彼が笑った顔を見てみたい。薄い唇は今も真一文字に結ばれていて、切れ長の瞳は真っ直ぐ黒板の数列を追いかけている。
「こら、そこ、余所見をするんじゃない!」
 教員の叱責で教室中の瞳が僕に集まる。しかし彼の視線は机に置かれた教科書の上、決して僕のほうを見ようとはしていない。冷たい横顔の向こう側、強い北風が音を立てて窓硝子を鳴らしている。



Twitter300字ss企画より 第二十九回お題「氷」

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